荒井良二さんインタビュー

#004 荒井 良二さん

7.理由のない驚きをつくりたい

—これから荒井さんの絵本はどんなふうに進化していくんでしょうか?

荒井:アイデアはずっと考えているものを出しているだけの話であって。そこに新しい発見を盛り込むこともあるけれど、アイデア自体は新しいっていう感覚でつくってるわけじゃなくてね。小出しになっている感じかな。毎回、全く同じものを作ってるような気がする。でも、それでOKって思ってるところもあるんだ。自分は全然飽きてないからね。俺にとっては絵本的なアイデアって、古ぼけたりしないから。
『モケモケ』を皮切りに、これからは字を読めない小さい人たちに見せたい絵本が続くかもしれない。言葉で感動したりするものは排除して、理由のない驚きのあるようなね。そういうものつくりたいなあって思うけどね。

—最後に、子どもに関わる人にとって大切な姿勢について教えてください。

荒井:単純に、子どもに媚びを売らない。やさしくしないとかじゃなくてね。媚びを売らないって、どういうことなのかを各々考えて、それを持ちつつ、子どもに関わるっていう姿勢であってほしいと思うな。 子ども用に自分をチューニングしたらだめだと思う。それは、大人としての大切な姿勢なんじゃないかな。

—今日は本当にありがとうございました!

Profile

荒井良二 荒井良二(あらいりょうじ) 1956年山形県生まれ 日本大学芸術学部美術学科卒業。 イラストレーションでは1986年玄光社主催の第4回チョイスに入選。1990年に処女作「MELODY」を発表し、絵本を作り始める。1991年に、世界的な絵本の新人賞である「キーツ賞」に『ユックリとジョジョニ』を日本代表として出展。1997年に『うそつきのつき』で第46回小学館児童出版文化賞を受賞、1999年に『なぞなぞのたび』でボローニャ国際児童図書展特別賞を受賞、『森の絵本』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞、2006年に『ルフランルフラン』で日本絵本賞を受賞。90年代を代表する絵本作家といわれる。そのほか絵本の作品に『はっぴぃさん』『たいようオルガン』(偕成社)『えほんのこども』(講談社)『うちゅうたまご』(イースト・プレス)『モケモケ』(フェリシモ出版)など。作品集に『meta めた』(FOIL)がある。 2005年には、スウェーデンの児童少年文学賞である「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を授賞。「スキマの国のポルタ」で 2006年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。絵本のみならず、本の装丁、広告、舞台美術、アニメーションなど幅広く活躍中。 荒井良二オフィシャルWEBサイト http://www.ryoji-arai.info/