#001 西村 佳哲さん インタビュー
世界の意味を見つけていく
西村佳哲さんのことをはじめて知ったのは、友人から強く薦められて読んだ、著書『自分の仕事をつくる』がきっかけでした。以来、わたしにとってこの本は、迷った時に立ち戻る大切な場所になり、何冊友人にプレゼントしたかわかりません。
西村さんは、働き方研究家としてのお仕事、ものづくりのお仕事、大学などで「プレデザイン」という授業をもたれる一方で、子どもや親子を対象としたワークショップを企画されていたりと、デザインを軸としながら幅広く活動されています。今回、子どもを対象としたワークショップにどのように向き合われてきのか、自らの子ども時代、子どもの遊びや環境についてなどじっくりお話を伺いました。トップバッターにふさわしく、さまざまな問題提起を含んだ興味深いインタビューになっていると思います。
1. ワークショップ
遠藤:西村さんは、ものづくりのお仕事以外にも様々な活動をされていますが、まずはわたしも体験したことのある子どもを対象としたワークショップについて、教えていただけますか?
西村:子どもを対象としたものでいうと、リビングワールドで『小さな木をつくろう!』1『時間虫めがね』2、『土の10日間』3 と3つのワークショップをやりました。『小さな木をつくろう!』では、クラフトボックスを使ったんですけど、それは「箱」が時間を超えやすいからなんですよね。子ども向けのワークショップって、やたらゴミが出るのがすごく嫌で。子どもの頃つくったものに、10年、20年後に再会できる可能性があるものをつくりたかったんです。
『小さな木をつくろう!』は、その場限りだったり、ゴミがたくさん出るっていうワークショップの問題に対するアンチテーゼだったと思う。でも、やっぱり子ども向けのものだったなと思っていて、その後企画した『土の10日間』や『時間虫めがね』では、大人も子どももフラットな関係、子どもも大人も「わからない」状態をつくろうって思ったんだよね。
『土の10日間』でいうと、なにもやってないのに、芽が出てくるっていうことに大人もやっぱり驚くし、出てきたものが何かっていうのも、さっぱりわからないし、そういう二人ともわかんない状態ってすごくいいなと思う。それで、3、4か月すると、「あ、これ柏葉だ」とかわかるようになってきて、ワークショップはずっと続いていく。
でも、その3つのワークショップの後に、子ども向けのワークショップってやってないんですよ。なんでやらないかっていうと、少し乱暴に聞こえるかもしれないけど、みんなちょっとやりすぎな感じがしてね。子どもへの過干渉ってすごい問題だと思ってて、ほっといた方がいいと思ってるところがあるんです。少子化が進むと、ますます子どもたちにエネルギーが集中していく。子どもへの過干渉って、全社会的に強くなっていると思うんですよ。