こども WORKSHOP CIRCUSに行ってきました

8月8日から12日まで開催されていた「こども WORKSHOP CIRCUS」に行ってきました。浜松の子どもアートスタジオを主宰するホシノさんから計画段階でお話を伺ったときは、「大きな会場のあちこちでワークショップが行われていて…」という説明に、以前、足を運んだことのある子ども向けのワークショップ展覧会のようなイベントしか思い浮かばず、どんなふうに展開されるのか想像がつかなかったのですが、実際に会場に行ってみるとホシノ団長のサーカス一座(?)が心底楽しんでおり、子どもたちもそんな大人たちに反応するように相互作用が生まれ、とてもいい時間が流れていました。

以前、足を運んだワークショップの展覧会と今回のワークショップサーカス。大きく言えば「子どもを対象にしたワークショップがたくさんあるイベント」であることに変わりないのに、どうしてこんなにも受ける印象が違うんだろう。

とうことで、ワークショップ展覧会的なイベントによい印象を持たなかった理由を整理してみました。

1)大人が思う「楽しい」に、子どもが付き合わされているように見えた
2)あらかじめ正解が用意されているものが多い(キット的なものとか)
3)親の要望(教育的な要素)に応えるプログラムが多い

2と3については、参加者に小学校3,4年生くらいの子が多いということもあるのかもしれません。それにしても、もともとワークショップという言葉が持っている(ように思う)、その場で創りだしていく感じとか、自発性みたいなものがないがしろにされているような気がして(そうでないものも中にはもちろんあるのだけれど)、全体としてとても窮屈な印象を受けました。

一方、ワークショップサーカスの印象はどうだったか。

1)大人が本気で自分のこととして取り組み、楽しんでいるように見えた
2)問いを開こうという態度が一貫している
3)結果ではなく行為そのものを大切にできる時間的、精神的な余裕がある

書きだしてみたものの、わかりづらいですね。。いくつかのワークショップは「(見本があって)こんなのつくれますから、一緒につくってみましょう」形式のもので、内容がことさら練られているということでもないのです。でも、それらが集合した時に前者とは決定的に違っているように思いました。大雑把に言えば、主催者側の意識ということになってしまうのですが、答えなんてないよという態度と子どもの行為そのものを大事にしたいという意思が会場全体にビリビリと伝播しているような、開かれた空気感が漂っていました。

印象的なシーンとして残っているのが、いろんな色のマジックで木片に色を塗り続けていた子が、まんべんなく塗られた一辺を満足そうに見ていた瞬間、「きれいにできたね」とスタッフがすごく自然に声をかけていたこと。子どもは「自分の身体を自分の思うように動かすこと」に大きな喜びを感じます。だから、木片の一辺にマジックできれいに色を塗る、という行為そのものが目的。何かをつくることが目的じゃなくてもいい。そういう気持ちを持っていることが、多くのことを語ってくれているように思いました。

ところで、わたしは会場で何をしたかというと、ホシノさんからお題をいただいて、8月10日の19時からのトークに登壇させていただきました。6月に訪ねてきたフランスで活動するアソシエーション(NPO)「パラン・パル・ミル」の話から、フランスと日本の家族支援制度の比較、日本の子ども環境にどんな課題が見えているのか、ということについて、お話させていただきました。その後、浜松で活動するNPO法人クリエイティブ・サポート・レッツの鈴木一郎太さんと主催者であるホシノマサハルさん、それから、一緒に活動している西村隆彦と共にあれこれ話をすすめながら、あっという間の2時間でした。あれもこれもまだまだ話し足りなかったのですが、またの機会に残しておきたいと思います。参加して下さったみなさま、本当にありがとうございました!