年のはじめに。

 

2016年は、リスタートの年になりました。
福岡から山形へと拠点をうつして、新しい土地、新しい家、新しい仕事、新しい友だち。
あれもこれも、同じ日本なのに違う国みたいな、ニューワールド。
心の中が騒がしい。愉快な一年でした。

月山と鳥海山の雄々しい姿にはいまだに慣れることなく、毎朝毎夕、感嘆しています。
夏は涼しく、星がきれいで、窓を開け放って、空を眺めながらの夕食は格別でした。
秋になると、白鳥の声で目が覚めました。見渡す限りの黄金色の田んぼも、美しかった。
冬はまだはじまったばかりですが、まるで水墨画の世界にいるようです。
なにもかもが内側に篭っていくような静寂を、はじめて知りました。
これから本格的な冬を迎え、どんな感覚を味わうのか楽しみです。

子どものカタチでは、2回目のペアレンティング・キャンプを9月に開催しました。
わたしたちにとっては、大きな挑戦でしたが、本城慎之介さんや子どもたち、参加者の方々、ご協力いただいた皆さんの力によって、すばらしい時間をつくることができたと思っています。このキャンプでわたしは、信頼する気持ちの大切さを学びました。本城さんと子どもたちが教えてくれたギフトであったと思っています。

2017年は、一つひとつ結んできた点と点を集めて、結実させていく一年にしたいと思っています。
これまでの経験やネットワークを全て統合させていくような、新しい冒険の旅がはじまります。
同時に、上の子が一年生になり、母としても新しいステージを迎えます。

年末に、興味深い話をふたつ聞きました。
剣道では、遠心力とテコの原理によって竹刀を操る。仕事もそれと同じで、遠心力とテコの原理を活用すると吉、というのが一つ目の話。
もう一つは、ジャグラーの方に片手で2つの球を操るコツを聞いたところ、常に受け取って、常に投げる状態をつくるイメージで、と教えてもらったことです。

それを聞いて、なるほど家庭と仕事の両立はジャグリングのようだと思いました。常に受け取り、常に投げている状態を保ち続ける。手に何もない状態は原則ない。気を抜くとバランスが崩れてどちらかがこぼれてしまう。もう一度気を取り直してやり直す。その繰り返し。
ある程度、2つの球をまわせるようになってきたら、次は球の滞空時間と手に受け取った時のクオリティをどうあげられるかがポイントになってくるけれど、クオリティの向上を目指すまえに、そもそも楽しくないと意味がない。眉間に皺を寄せていては、どんな高難易度の技を繰り出したとしても良いジャグラーとはいえないから。

結論としては、子育ても仕事も今年はもっと肩の力を抜こうと思います。力を抜くためには、遠心力を使うこと。自分の力でなんとかしようとすると、自分の範囲でおさまってしまって、おもしろくない。もうそんな力技はやめにします。自分の能力をよく知ることは、悲観的になるということではなく、限界が見えているからこそ新しい世界を拓けるのだと、やっと思えるようになった気がします。少し違うかもしれないけど、身近な例でいえば、去年のお正月は筑前煮のにんじんを梅型にしたり、れんこんを花型にしたりしてみたけど、もう今年はやめました。乱切りでよし!そうだ料理に限らず、大体のことは乱切りで吉!

今年はもう少し愉しくジャグリングできるようになりますように。
みなさま、2017年もどうぞよろしくお願いします。

遠藤 綾