3.本当の実力が試される場
遠藤:ひとつのプロジェクトがどんなふうに始まり、まとまっていくんでしょうか?
萩原:まとまらないですよ(笑)。「コド・モノ・コト」の枠組みは、限りなく緩くしたいと思っていて、運営上コアメンバーを決めて、定期的に集まっていろんなことを決めていくんですけど、あんまりコアメンバーが強くなりすぎないようにしたいと思っていて、それぞれがやりたいことをやれるような場所にしたいんです。でも、発表までほっとくのか、というとそうではなくて、みんなで話す場を設けたりとか、子ども連れで公園に行ってみるとか、プロセス自体も一緒に楽しむようにしています。結果が出ればいいってわけではなくて、プロセスも楽しくないと。
具体的には、展覧会だと短くて半年ぐらい前からテーマを決めて、それで誰に声掛けようかっていうのが決まって、みんなで集まって、その後何回か途中経過を報告しながら進めています。途中経過を発表しあうことで、それをきっかけにそれぞれ刺激を受けながら進められると思うので。自分の名前で何か発表するっていうことになれば、下手なことはできないし、本当に実力が試されるんですよね。
OZONEでさんざん展覧会を企画していた時も、最初のうちは、テーマを投げかけたら、展覧会の当日まで会わないような、割と省力化の方向でやってたんですけど、そのうち、テーマを決めるところからデザイナーに入ってもらって、みんなで広げていくやり方へと変化していったんです。みんな個性的に自分がやりたいことをやりながらも、全体としては、ある方向がきちっと見えてくるようにしたいと思っていて。でも、なかなか難しいんですけどね。
遠藤:難しそうだし、きっと手間もかかりますよね。
萩原:ええ、難しいんですよ。面倒な方法だけど、そういう方法がいいと思っているので。ためにはなる気もしますしね。刺激もあるし。
遠藤:完成したプロダクトは、販売もしてるんですか?
萩原:それは、それぞれのデザイナーにまかせています。メーカーと組んだり、自分のお金で作れる範囲で売れるようにするとか、展覧会のためだけにいくつか作って売るとか、いろいろあります。継続して売っていく出口がつくれていなかったので、今年まずはネットショップをオープンさせました。いつかは、小さくてもショップができればいいなと思っているんですけどね。
遠藤:「コド・モノ・コト」のデザイナーを決める時には、どんな基準で選ばれてるんですか?
萩原:「こういうものをデザインして」って依頼するわけじゃないから、デザイナーが自発的に「こんなのつくりたい」っていうモチベーションがあるっていうことが前提としてありますね。
後は、どんな基準で選んでるんだろう。 子どもがいる、いないっていうわけでもないんですよ。全体として企画しているので、全然違う発想をしてくれそうな人たちをバランスをとりながら、その都度選んでいくという感じですね。