[編集後記]伊藤保子さんインタビュー

私は昨年末9年間勤めた会社を退職した。
最後の5年間は子どもを育てながら時短勤務で働き、よくある話の通り、私も働き方と育て方のバランスに悩み試行錯誤していた。
いくつかの試行錯誤を繰り返す中で、会社員以外の働き方の選択肢の狭さや難しさという「働き方」の問題と、ある程度長時間労働でないと保育園に入れないという「保育」の問題に気が付き、今は「働き方」の問題にフォーカスして事業をやっている。

今回のインタビュイー伊藤保子さんとは、この「保育」の問題に関して、調べ物をする中で出会うことになった。
伊藤さんが理事を務める小規模保育協議会の勉強会で、伊藤さんと偶然お話する機会があり、感じる所があった。
その日私は勉強会に、どんなやり方があるか、どんな制度をどう使えそうか、という視点で参加していたのだが、伊藤さんはさらりと「制度にうまく載せようとするのではなく、必要だと思うものをとにかくつくる方法もあるよ。特に今まだないものはね。」とおっしゃった。聞けば、ご自身も20年ほど前に、当時前例のないようなやり方で保育園を作られたという。そしてその際に「怨念をエンジンに手探りでやってきた」という表現をされたこと(しかも非常に朗らかな口ぶりで)が気になっていた。

インタビューでは、伊藤さんの活動の原動力“怨念”について伺った。
結論から言うと、伊藤さんの活動の原動力は、正確には“怨念”ではなかった。(私はそのように受け取った)
でもこのインタビューには、言葉にならないもどかしさをきっかけに自分たちの足元の問題をどう解決してきたのか、女性が子どもを育てながら社会につながっていくための知恵がたくさん詰まっている。
私が退職を決めたのが昨年春、そしてこのインタビューを実施したのが昨年8月。年末に退職し、その後の妊娠、自分の事業の立ち上げなど、私個人の変化をはさんでのインタビュー、編集。個人的な事情もあってか、私は伊藤さんから、子どもを持つ女性の社会とのつながり方について多くの示唆をいただいた。

皆さまは、伊藤さんのインタビューをどのように読まれるのか。
是非お楽しみください。

(橋本)