3.幼児教育の現場で
—お二人は幼児教育の現場に携わられて何年になるのですか?
紘良:6年です。最初は幼稚園で働いて、その後保育園に入りました。
ーしぜんの国保育園1では、「ふくろうの森新聞」という子育て情報誌やみんな表紙が違う卒園アルバムの制作などユニークな活動をされていると伺いましたが、いま進行中の活動があれば教えてください。
紘良:保育園で園児と共に「イロトモ」「オトキャッチ」という芸術活動をしています。心を解放し、自分の気持ちを豊かに表現させるための時間として考えていて、こみ上げる思いや想像の世界を素直に引き出すことを目標にしています。見えないものを見ようとする時間を経験した子どもは、たくさんの夢が見えると思うんです。「夢を見る」ということは、どれほど見えないものを見るかの蓄積なのではないかという想いで活動しています。
—子どもたちのいる現場に携わりながらものづくりできるって、とてもうらやましく思うんですけど、どんなふうに感じていますか?
紘良:他の人にはなかなかない環境でものづくりが出来てるなと思いますね。例えば絵本でも、大人が読んですごいと思ったとしても、子どもの文化には食い込んでいかなかったり。そこには微妙なラインがあると思うんですね。そういうことを肌で感じられるのは、得難いことだと思っています。だからこそ、子どもの文化のラインを少し超えた物をつくりたいという気持ちはずっとありますね。
—黒く塗られた壁面に子どもたちの絵が貼られていますが、壁面が額縁のように絵を引き立てていてとても素敵ですね。この部屋は子どもたちが絵を描く部屋なのですか?
紘良:はい。いつでも絵が描けるようにと材料などをまとめておいています。絵を描くことについても、技術的なことを教えていないです。何やっても良いと思うし、自分が描いたものが正しいと思える心がぼくには大切に思えるんです。
絵を描く楽しさっていうのは、筆を持たせる前、そこに持っていくまでのプロセスも大事です。例えば、子どもたちを岡本太郎美術館につれていった後、すごく楽しい抽象画を描いてくれたりね。そういうふうにしていけば、絵が好きな子が増えると思っています。
- 紘良さんが副園長を務める町田市にある保育園 しぜんの国保育園HP ↩