2.いろんな「生き方」を伝えたい
—読者の反応はいかがでしたか?
美和:あたたかい反応をいただいて、営業しなくてもお店の方から置きたいとおっしゃってくれる場合がほとんどです。読者の方とのやりとりも楽しくて。この間は、50代の男性からお手紙が来ましたし、『BALLAD』を読んで連絡をくれた女性が、この職場で働いてくれていたり。
夢と現実が良い具合におさめられていると感想を言ってくれた人がいて、夢がある本をつくりたかったから、とてもうれしかったのを覚えています。
紘良:ぼくは自伝を読むのがすごい好きなんですね。自伝って自分のことを美化することがありますけど、実際はそうでもなかったりする。でもそれがその人の真実であり、夢であると思うし、それはそのままアナザーワールドなんですよね。理想と現実が織り交ざるようにして着地している。『BALLAD』も、そういうところがあるんじゃないかと思います。
—『BALLAD』の副題は「culture &education」となっていますが、このあたりについてもう少し教えてください。
紘良:伝承の唄(バラッド)は、人生をうたっているものが多いと思うから、それが人間にとって大切なこと、文化や教育につながると思うし、人間にとって大切なことは子どもにとっても大切だと思うんです。
美和:子育て中のお母さんたちに、子育てについての情報を提供するよりも、いろんな人がいて、いろんな人生があること。「生き方」みたいなことを伝えたかったんです。編集では、雑誌っぽくならないように気をつけました。結果的に、それがよかったのかなと思いますけど。

—紘良さんは、ミュージシャンとしても活躍されていますが、本と音楽、それぞれをどんなふうに見られていますか?
紘良:音楽はかたちに残らなくて、振動を目の前で受けた時に感覚や皮膚に感じるものがあることが、すごく大切なんじゃないかと思っています。本は、触れられるし、質感があること。一文字一文字の距離感とか、見ていて楽しいなと思いますね。
美和:本の方が、おじいちゃん、おばあちゃんも読んでくれるし。いろんな世代がみられるしね。