4. 自分の自動性
遠藤:わたしの場合、何かを考えるときに、子ども時代の遊びがほぼ全部というか、そこにしか戻れないっていうところがあるんですが、西村さんの場合、何か考えるときに立ち戻る記憶ってありますか?
西村:それでいうと、自分の取り柄というか、ほっておいても作動しちゃう自分の自動性みたいなものは何かなって考えると、「思いついて、声をかけて、形にする。」っていうことをやってると思うんです。これは僕の自動性で、頼まれたことがきっかけで、それが作動することもあるけど、仕事の依頼が来なかったとしても、やっぱりそういうことを考えるんだよね。『自分の仕事をつくる3日間』 1をやったり、リビングワールドのプロダクト 2をつくったりするわけです。それは、本当に生涯やってることだなと思ってて、小さい頃はそれを何でやってるかっていうと、ごっこ遊びです。「今日は何とかごっこをしよう」みたいな感じで一緒に過ごして、夕方になったら「今日は楽しかったね」といってさよならする。それを延々やってる感じがしますね。だから、今の遠藤さんの話には、100%同意ですね。
会社に入って仕事をしてるときにも、そうだなと思ってた。というのは、会社にいると、部長がいたり、あるいは部下がいたりするわけだけども、その人たちを、例えば、高校のクラスにぎゅっと落としてみるとか、あるいは小学校のクラスにぐっと落としてみると、あの部長はクラスのあいつだとか思うわけですよね。まずそのクラスの中でのポジションみたいなものを大人になっても演じてるような感じがあるし、さらにいえば小さい頃に好きだった遊びと大人になってから使ってる感覚は変わらないと思うんですよね。自分が知ってる面白さみたいなものがなかったら、ロジックが優れてるとか、論理的に正しいだとか、そういうところでしか仕事ができなくなってしまうので、遊びの中で育んだ、ある感じだとか、魅力だとか、あの何とも言えない面白さだとか、そういったものの味わいが大人になってからも、それぞれを支えてる気はします。