西村佳哲さんインタビュー

#001 西村 佳哲さん

2. 何かを作っていることがクリエイティブなことじゃない

遠藤:わたしも子ども向けのワークショップをこれまでいろいろ企画してきましたが、どうしても違和感を感じてしまうことが多くて。何かをつくって、できたね、楽しかったねっていうところで終わってしまうワークショップがあまりに多いように思うんです。もちろん、そういったものもあっていいと思うんですけど。

時間虫メガネ
時間虫メガネ 2003年の夏に慶應幼稚舎の3年生の教室で開催されたワークショップ「時間虫めがね」の様子。その後、2005年には、ベネッセ創業50周年記念事業「教育へのヴィジョン展」(岡山)でも開催。(この時、遠藤もワークショップに参加)

西村:子ども対象のワークショップを見ていると、子どものために大人がつくった遊びがあって、その遊びに子どもが応えてくれている感じがするんだよね。子どもたちは、大人の期待にこたえようとするからね。

何かをつくっていると、安心する。分かりやすいから。でも何かをつくっていることがクリエイティブじゃないと思う。例えば僕らが映画を見たり、小説を読んだり、あるいは音楽を聴いて、「わぁ」って気持ちになった時、嬉しいんだか、切ないんだか、おかしいんだか、ちょっと分かんない、まだどのフォルダにも分類できないような初々しい気持ちっていうのが一番クリエイティブな状態だと僕は思ってて、それに名前をつけるっていうのは、分類するってことなんだよね。分類以前のものを僕らはいっぱい経験してる。

日常生活の中で面白かったとか悲しかったとか、なんだとかっていう言葉をつける前の、形容詞の前の感情を自分がどれくらい感じてるか、吟味できてるかっていうところが、日々を豊かに生きていくっていうことだなって思う。だから子どもたちに、「今日はどうだった」って言って、「うーん、なんか分かんない。」とか言ったときには、「ああ、わかんないんだ。」って言ってあげればいいと思うんだよね。

「面白かった?」って聞くことって、「面白い」って言うことを強制している感じがする。ワークショップが、そんな場になっている感じがしていて。子どもに、過剰適合にいたるような、適合トレーニングを積んでいってもしょうがない。今、自分が感じていることを感じるっていうことじゃなくて、そこで求められているものに、合わせるっていうことをトレーニングしてることになるから。それは、なかなか罪深いことだなと思っています。