子どもにきく世界 「4歳、死を語る」

4歳8ヶ月の夏。鹿児島のしょうぶ学園にて。

インタビューを終えて

4歳10ヶ月。日常とファンタジーの世界との距離が近く、時々それらが交差するような地点に彼らは住んでいます。4歳を過ぎてから、より大きなものに少しずつ関心が向けられるようになり、「死ぬとどうなるの?」「おつきさま、お昼はどうしてるの?」といった問いを投げかけてくるようになりました。こうしたやりとりの中から、子どもが全身で世界をつかもうとしていることを感じ、親もまた世界の新しい見方を子どもから受け取っているように思います。

インタビューの中で特に印象に残ったことが三つありました。ひとつは、「ヤマの肉体は腐っていくが、天国に行く」と答えていること。身体と魂とは別だ、と受け止めているのでしょうか。二つ目は、「元気」がなくなっていくことが大人になっていくこと、と答えていること。大人になっていく過程を「増えていくもの」ではなく「失っていくもの」と考えている点が興味深く思えました。最後に、「悲しい」という感情は、泣くなどの表現によらなくても心の中で静かに起きている、と理解していること。心の複雑な動きを見つめる、内面の成長を実感しました。

子どもインタビューのすすめ

やってみると、子どもインタビューはとても楽しかったです。まとまった話を聞けたのは30分が限界でしたが、子ども側もこちらが一言も逃さず聞き取ろうとしている様子を読み取ったのか、インタビュー後とても満足気でした(喫茶店でプリンを食べられたからかもしれませんが…)。考えてみると、こんなふうに集中して語り合う機会はなかなかつくれないものです。
加えて、とてもよかったのは、子どもとのやりとりを書き起こし、改めて見なおす機会になったことです。既に知っていることの答え合わせのような問いかけをしていないか。子どもに自分が劣ったものと感じさせるような問いかけをしていないか(褒めすぎることで逆に差別してしまう危険性も)。子どもの言葉を途中で遮り、了解済みという暗黙のメッセージを送っていないか。子どもへの対し方が否応なくクローズアップされ、親としての課題も見つけてしまいました。

わたしもやってみたい、と思われた方は、杉山亮著『子どものことを子どもに聞く』(新潮社刊)を読まれることをおすすめします。子どもインタビューの着想と心得を学んだ本です。

 

Yくんプロフィール
2010年生。2年半前に東京から福岡に転居。生後8ヶ月から保育園に通い始め、現在は「リズム運動」で知られ、全国に姉妹園があるさくら系列園に通っている。折り紙とレゴに夢中。1歳の妹がいる。