# 014 深津高子さん

# 014 深津高子さん

4.あるがままの世界から学ぶ

-今一番関心のあることについて、聞かせていただけませんか?

深津:私が今一番やりたくて、そして実際にやっているのは「おうちで出来るモンテッソーリ」。今日の夜からすぐできて、お金もかからない、そういう家庭でできる工夫についてお父さんお母さんに積極的におはなししています。
例えば、食器を片付ける位置を低くし、子どもが自分自身で出し入れできるところに変えて、子どもに配膳の仕事をしてもらうことを提案する。たったそれだけのことですが、ものすごく大きな変化があります。あるお母さんからは「朝、あれだけ起きなかった子どもたちが、ダダダダっと起きてきて、嬉しそうに配膳するんです!信じられないです!」と言われました。

子どもたちは本当はもっとお手伝いに参加したがっているのに、十分な機会を与えられていません。忙しい大人にとっては「あっちでテレビ見てなさい」と言った方が楽だし、実際大人がやった方が早い。
最初から完璧にお手伝い出来る子どもはいないけれど、大人がゆっくりとやり方を見せて、待ってあげさえすれば、本当は子どもは大人が思う以上に色々な事ができます。子どもは自分も家族の一員となって役に立ちたいと思っています。
1歳ならレタスがちぎれるし、玉ねぎの皮がむけるし、新聞が運べる。5歳は「新聞持ってきて」と頼んでも「いやだ」と言うかもしれないけれど、お風呂掃除ならば喜んでチャレンジします。このように「おうちで出来るモンテッソーリ」では、子どもの心理的、知的、身体的発達段階に沿ったお手伝いの紹介をしています。
生活の中で子どもたちは色々なことを吸収し学んでいます。教具がなくても、近くにモンテッソーリスクールがなくても、家庭でできることが本当にたくさんあることをお父さんお母さんに伝えたいです。

-お手伝い以外にも家庭できることはありますか?

深津:おもちゃの整理の仕方についてもよく話をします。
先進国の子どもは一人300個以上のおもちゃを持っていると言われています。本当に全部必要でしょうか?そこで連続セミナーでよく宿題にするのが「今、子どもが繰り返し遊んでいることの観察」です。子どもが何に関心をもっているか、何で遊んでいるかを観察していただき、よく遊んでいる10個程度のおもちゃだけを残し、他はバザーに出したり、片づけることを提案しています。
この宿題はおもちゃの片付けにも有効なのですが、お父さんお母さんの子どもの観察力アップにも有効です。宿題を出した途端に、お父さんお母さんの子どもの見方が変わるからです。
二歳の子どもに素敵なカルタをプレゼントした時の様子を、ビデオに撮って教えて下さった方がいらっしゃいました。お父さんお母さんはてっきり子どもがそのカルタで遊ぶと思っていたのですが、子どもは全くカルタに見向きもしない。カルタの箱の底に入っている折りたたまれた説明書に興味を持って、開くとこんなに大きい!でも畳むとこんなに小さい!と何十回も説明書を開いたり折ったりしている。何が面白いか、子どもの興味って計り知れないです。大人にとっては当たり前のことにもセンス・オブ・ワンダー1があると思うんです。子どもは、あるがままの世界をとっても楽しんでいます。

-そういう子どもの見方ができたら「こんなことばっかりして!」イライラするのではなく「何を考えているのかな?」という探求や発見の楽しみを持って、子どもと過ごせそうですね。

深津:そうですね、子どもはその時、その瞬間を生きていますから。
それからもうひとつ「おうちで出来るモンテッソーリ」では、「ごめんなさい」を強要しないでくださいとお話しています。4歳くらいまでは他人にも自分と同じニーズがあり、「スコップ使いたい!」と同じよう思っていることがまだ分かりません。共感する心が育つまでの間は、自己中心的に見えますが、それでいい。その時期はその時期をフルに生きればいいと思います。自己中心的であるはずの時期に無理やり「ごめんなさい」と言わせても、それはセリフのように聞こえますね。そうではなく、脳が発達して、自然と「ああそうかー。悪かったなあ」と相手の立場から物ごとが見えてきた時に、初めて自分の言葉で「ごめんね」や「ありがとう」が出てきます。本当に子どもが心からそういう言葉を言う時って全然違いますね。
もう一つ子どもたちが素直に謝るようになるには、周りに謝っている人々が存在することです。それが親であれ保育者であれ商店街のお店屋さんであれ、しかるべき時には「ごめんね」や「さっきは悪かったね」を自然に言い、それを子どもが日常的に見ていることが大切です。なぜなら子どもは環境に無いものは吸収できないからです。

難民キャンプにて、小さな子のお手伝いをする少女

難民キャンプにて、小さな子のお手伝いをする少女

  1. ある物事に対して、先入観なくありのままに感じ取り、不思議さや神秘を感じ取れる感性のこと。生物学者レイチェルカールソンの著書「センス・オブ・ワンダー」に由来する

プロフィール

深津高子(ふかつたかこ)
保育アドバイザー。国際モンテッソーリ協会(AMI)公認教師、同協会元理事。

教師養成コースの通訳や講演などを通して、モンテッソーリ教育の普及に関わるほか、一般社団法人AMI友の会NIPPON副代表、ピースボート洋上『子どもの家』アドバイザーも務める。

 

Index

  1. 生命が育つお手伝い
  2. 文化を手渡す仕事
  3. 幸せに生きるヒント“知的自立”
  4. あるがままの世界から学ぶ
  5. 私は宇宙に住んでいます

 


インタビュー日:2013.12.18 @国分寺・カフェスロー
インタビュアー:橋本笑穂

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