#013 山田茂雄さん

#013 山田茂雄さん

2.お守りから管理へ

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-“お守り”するように庭と向き合えない状況があるということだと思うのですが、造園をめぐる状況の変化についてお話いただけますか。

山田:昔は、連絡をいただかなくても、必要な時期になればお客様の庭に足を運びました。「今日植木屋さん来てるね」っていう感じでお客様も見ていた。木は、種類によって花や実を付ける時期が違うから、しょっちゅう見に行かないと本来果たすべき役割を果たすことができないんです。個体の特徴にそったやり方をしていれば、形も維持できて花もよく咲く。そんなふうに接していくと、何代も引き継げる庭になる。そういう仕事のあり方が昔はあったんです。
でも、2、30年くらい前からそういう考え方がどんどん失われていきました。いまは、経済的であるかどうかを基準としているところが多くなってるし、お客様の方も電話しないのに来る植木屋を嫌がったりする。

結局、庭を“管理する”っていう考え方になっていったんだね。安くするために、一番最低限の管理契約にしましょう、丸く刈るだけで他のことはしないようにしましょうってね。

椿はこういうかたち、ケヤキはこういうかたちというように、種の個体が持っている本当の自然の姿を「自然樹形」というんだけど、“管理する”接し方をしていたら、個体は「自然樹形」に辿り着くことができないと思うんです。当然、個体別の最高の高さ「最終樹高」にまで成長することもできない。個体の持っている本当の姿に育っているかどうか。そういう視点そのものが、現代の社会に欠けているように思います。それは、人への見方にもつながっているんじゃないかな。

秋田の冬は長い。一年の半分は厚い雪に覆われる。

秋田の冬は長い。一年の半分は厚い雪に覆われる。

-木にとっていい環境というのは、どんな状態なのでしょうか。

山田:木は、どこかに種が落ちて、その環境に順応しながら育ちます。その環境の中で、それぞれ個性のある植物が互いに譲り合って生きている状態を「共合」というんだけどね。そこで細々と生きるやつもいれば、ぐーっと大きくなるやつもある。育ち方はそれぞれであっても、環境に順応できていれば、それがその個体にとっていい状態といえるんじゃないかと思います。

-人間も同じことがいえそうですね。

山田:そう。人間も環境に順応できないと、どんどん生命力が落ちていきますよね。順応するには、自分で自分の特徴をよくわかっていて、ここに根を張るって気持ちになることが大事だと思う。
植物って人間よりずっと長生きで、600年生きる個体がある。植物には、環境に順応する力があって、それはそのまま生命力があるっていうことだと思う。人間はかなわないよね。そういうことを含めて、人は植物や水から、たくさん教わることがあるような気がするんですよ。

プロフィール

山田 茂雄(やまだ しげお)
1972年東京農業大学農業工学科卒業。造園事務所勤務を経て2001年、有限会社山田茂雄造園事務所を設立、「東京 森のテラス」オープン。2008年5月「秋田 森のテラス」オープン。
www.moritera.com

Index

1.子どもを育てるように
2.お守りから管理へ
3.育てたものを食べる
4.手の届く範囲で生きる


インタビュー日:2013.2.28 @ 東京 森のテラス
インタビュアー:遠藤 綾 / 写真:若林勇人、片岡陽太(秋田森のテラス写真)

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