[レポート]研究会「子どもの絵は子どものことば」

6月29日こどものかたち研究会

先月6月29日に、こどものカタチ研究会「子どもの絵は子どものことばー幼児画を手がかりに子どもの世界を探るー」を開催しました。中瀬幼稚園在園児の保護者のみなさんに加えて、保育士さん、幼稚園の先生、大学生、卒園児の高校生など、幅広い参加者が、約40名が中瀬幼稚園に集まりました。子どもたちもたくさん来てくれました。ご参加いただいたみなさま、中瀬幼稚園の関係者のみなさま、本当にありがとうございました!

井口先生からは、最初に幼児画に関心を持たれたきっかけ、ご自身の子育ての中で子どもの絵を見ることのおもしろさを再発見されたことを話されました。それから、本の中では、あまり触れられていなかった最初に丸を描けるようになるまでの発達と、その後の過程について、子どもたちの絵の写真をスライドショーで見ながら共有していきました。

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グルグルと手を動かして描くスクリブル期を経て、円が閉じるようになると、その円の中心に、子どもはエネルギーを感じているかのように、その中心にこだわり、もうひとつ丸を加えたり、点を描いたり、円の中と外とを描くようになる。これは「本能的なかたち」で、どの子も夢中になってそのようなかたちを描く時期がある。その後、円から外の下方向に向かって線が出る、ペロペロキャンディーのようなかたちがたくさん描かれる時期があり、その後、りんごのように外に向かう線が上にあがる。そして「太陽図形」と呼ばれる円の中心から外にたくさんの線が描かれ、その後、円から手足が線として現れ出て「頭足人」が描かれるようになる。

絵は子どものおしゃべり。大人に見せたくて描く絵ではなくて、没頭するように描いた絵の中、ゴミ箱に捨てられてしまうような絵の中にすばらしいものがある。 わたしたちは、子どもの絵を通して、子どもの世界を客観的に見ることができるのではないか。何よりも、一緒にいる大人が、子どもとの時間をたのしむために、子どもの絵は大きな手がかりとなる。

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子どもたちの絵を見ながらの井口先生のお話は、どこまでも続けて欲しいと思うくらい、発見の驚きとわくわくするような高揚感を感じます。すいかを食べながらの休憩を挟んで、後半は円になって対話の時間。子どもが絵を描いている時に、どんなふうに声をかけているか。子どもに絵を描いてと言われた時にどうしたらいいか。などなど、参加者から質問が出て、それに何らか応えられる人がこたえていくというスタイルですすめていきました。もうそろそろ終了の時間、となった時に雷雨がやってきて、それからおよそ1時間延長してそのまま対話を続けました。

知識優先の幼児教育がクローズアップされることも多い昨今、「どこか遠くに行ってしまいそうな子どもたちを本来の居場所に引き戻してあげたい」と語る先生の横顔が印象的でした。

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ゴミ箱に捨てられていた子どもの絵。昼の庭と夜の庭。

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大人がお話の間にも、子どもたちはたくさん描きました。
大人がお話の間にも、子どもたちはたくさん描きました。