新メンバーより、はじめまして(1)

はじめまして、玉木美企子と申します。
このたび、半ば押しかけ女房のように「こどものカタチ」に参加させていただくことになり、とても嬉しく、ワクワクしています。どうぞよろしくお願いします。

押しかけた女房のわりに、私には「子ども」について、プロとしての専門的な知識や経験のようなものは、まったくありません(申し訳ありません)。二児の母となり、彼らと日々関わることで、「子ども」という存在そのもの、そして彼らを取り巻く世界へと、意識を向けるようになりました。
しかも、母親としても、まったくもって未熟者です。子育てはつねに驚きや悩み、そして怒り!?の連続です。お恥ずかしい限りです。
ただ、子どもと関わることで湧き上がる、こうした感情のざわつきは、根気強く掘り下げれば人間そのものの本質に触れるものへと続いていく、得がたい経験なのでは?。その瞬間はあわてふためきながらも、同時にそんな予感を日々、得ています。おそらく子どもに関わったことのある多くの方が、感じていることでしょう。そして私もいつしか、思うようになりました。このヒントたちとちゃんと向き合いたいなあ、と。

たとえば。
言葉と気持ちが少しずつ一致してきた4歳の長男との会話は、一つひとつが謎解きの地図のよう。うっかり道を誤ると、「そういうことじゃない!」と一喝されます。今、彼が言っていることの後ろには、どんな経緯や思いがあるのか。テンポは保ちながら考えをめぐらせるやりとり、そして意外なオチ!。飽きることがありません。
ハイハイをするようになった次男と二人きりの時間は、獣になったようにぐちゃぐちゃ、ごろごろ、むぎゅむぎゅとしているうちにあっという間にすぎていきます。でも、そこにも間合いのようなものがあって、面白い。また次男は、私が練習中のウクレレの弦を、なかなか上手にはじきます。そうそう、先日、2歳すぎの男の子が叩くアフリカンドラムを聴いたのですが、この年代の子達が扱うと、どうして楽器はあんなに真っ直ぐな音を出すのでしょう?。
というわけで、“子どもの素人”の私は、日々のパーソナルな疑問、発想、ときには悩みから、つながり広がっていくものたちをたぐりよせていきたい。そしてそれらをこの場所で、どうにか「カタチ」のようなものにしていけたら——と考えています。

ちなみに仕事はこれまで、編集者・ライターを主な生業としてきました。近年は食と農の分野にすっかり魅せられて、全国のお百姓さんたちの声を聞き届けたり、カレンダーや小冊子、webなど、いろいろな形で伝える仕事をしてきました。
こと農の世界は、あまりにものめりこんで仕事を半年ちかく休業し、国内外を農家さんのところをめぐったり、住み込みをさせていただいたことも。押しかけが得意なのは、昔からですね。
改めて考えてみれば、農も「子ども」と同じ。生まれ、育まれ、伸びゆくいのちの現場です。そしてとりわけ「有機農業」と呼ばれる農を営む方たちのなかに、地域の子どもたちに向けて畑から食べるまでの課外授業を行ったり、いわゆる引きこもりの子どもと農業をしながらの共同生活を受け入れたりと、社会、とくに子どもに関わる活動を行っている方が多くいらっしゃるのは、大変興味深いことでした。いのちを扱う者として、同じいのちの危機を、見過ごせなくなるのかもしれません。いつかそうした方たちにも、改めてお話を伺ってみたいと思います。

さて、そんな私の第一回目のインタビューは、芸術教育研究所所長であり、東京おもちゃ美術館館長の多田千尋さんにお願いする予定です。
あたたかく見守っていただければさいわいです。

(玉木)