モンテッソーリ研修会レポート

東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンターが主催する3日間の実践研修会に参加してきました。モンテッソーリ教育に関する本を何冊か読んではいましたが、教具の実践例を見るのははじめてのことで、たくさんの発見がありました。

初日、基調講演としてイタリア国際モンテッソーリ・スタディーセンター教授のバイバ・クラミンズ・グラッツィーニ先生のお話がありました。
バイバ先生は、日本では小学校教育のトレーナーをされており、6歳から12歳の話を中心にということでしたが、その前にモンテッソーリ教育の成り立ちからお話され、初心者にとってもわかりやすく、その後の実践例への理解も深まりました。

モンテッソーリ教育といえば、日本ではオルタナティブな幼児教育法として認識されていますが、そもそもモンテッソーリは小学校の教師の免許がなかったため、小学校で教えられず6歳以下の子どもに関わるようになったこと。そして、異年齢混合という特徴も最初に場をもった環境の要請、つまり小さなコミュニティでそういう選択しかできなかったため結果としてそうなったということも、わたしにとってははじめて聞く話で非常に興味深かったです。

モンテッソーリ教育の特徴である「お仕事」は、「正しく働くこと」が人間の根本的な本能ではないか、という考えに基づいています。そして、自分の意志で選んだ物事に対して最大限の努力をする時、人は最も発達するとモンテッソーリは考えました。そして、そのように行動した人たちは、自分に自信をつけるため、周りの人たちにオープンになっていくこと、選択の自由は意思(will)を育み、意思は自分への忍耐(自分に従うことができる力)を育んでいくことも発見しました。

モンテッソーリ教育では、発達を4つのステージで理解します。0-6までの幼児期、6-12までの児童期、12-18までの思春期、18-24までの青年期。第1期である、幼児期は感覚を通して物事を理解していくと考え、見えるもの、触れるものを中心に世界や自分と交信していくその方法を提案しています。第2期は、見えないものにも意識を広げて、見えないものをどのように理解していくのか、というところにフォーカスしていきます。第2段階の子どもたちは、感覚で理解できないもの、つまり想像力の敏感期と捉え、想像力の助けとなるさまざまなものを提示し、そこから自ら学んでいけるよう構成されています。
モンテッソーリ教育の特徴のひとつ「宇宙教育」は、この第2段階で大きな役割を果たしていきます。具体的には、モンテッソーリ小学校では、まず最初に宇宙のことを学ぶそうです。宇宙はこの世で最も大きなもの。その最も大きな枠組を理解した上で、地球、生命、人類という順番で学んでいくと、全体の中の自分という意識が芽生え、人類への帰属意識が生まれると考えられています。
これまでよく理解できていなかった宇宙教育の考え方と、生命の秩序だった発達に対して大人がどのように手伝っていくのかという第1期の課題とがつながり、大きな輪をつくっているのが見えた気がしました。

ここまでが講演のまとめ。
ここからは全体の感想ですが、教具の無駄のない美しさとその提供(モンテッソーリでは、教具の説明のことを提供というそうです)の時の無駄のない動作は、お茶の世界とつながるものを感じました。モンテッソーリが考案した数々の教具が、ほぼオリジナルのかたちを踏襲しながら、連綿と受け継がれていることはすごいことだと思います。でも一方でモンテッソーリが生きた19世紀と現代とでは、私たちの置かれている状況が大きく異なっているし、「子ども」の在り方そのものも変化している。モンテッソーリ教育の揺るがなさに反射されるように「いまを生きる子どもたちに必要な学びとは一体なんだろう?」という問いが目の前に置かれた気がしました。宇宙教育の説明の中でも触れられていたのですが、私たちは過去を生きた人たちの仕事の上に立っています。であれば、過去の人たちの仕事を理解した上で、現代に加えていくべきものを考え、モンテッソーリがそうしたように前向きな試行錯誤を繰り返していきたい。
モンテッソーリ教育のみならず、これまで受け継がれてきた様々な教育に関する哲学と方法をもっと深く知り、咀嚼していきたいと思いました。

 

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