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全ての母たちが

先日、レストランで隣りにあった、あるお母さん同士の会話を聞いていたら、子どもはまだ小学生にもなっていないらしいのに、スマートフォンやいじめ、勉強についていけるか、といった類の心配がどこまでも吹き出してくるようで止まらない。 0歳の子どもが10歳になった時、テクノロジーと(それに伴い)社会構造はいまと同じくらいの速度かそれ以上に加速度的に変化しているのではないかと思う。わたしたちの当たり前は通用しなくなるかもしれない。となると、大方の心配は無要な心配かもしれない。 例えば、隣からしゃしゃり出て、わたしがそう意見したとしても、彼女たちの心配は消えないだろう。なぜなら、わたしたちは未来を先取りするように散々訓練されてきたから。それはもうわたしたちの奥深くにセットされてしまっているから。 当の本人である子どもは、今この一瞬を生きているのに、その母は未来を生かされている。立っているところが違えば、当 …

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【こどものカタチ研究会】「生まれる」を起点に考える (申し込み締めきりました)

出産をめぐっては、産んだ人産まない人を含めて、さまざまな体験があり、その上での考えがあります。考えの違いは、子育てをめぐってもあるものですが、それ以上に出産をめぐる違いの溝は大きく、深いと感じます。それだけ、女性にとって強い体験なのでしょう。 産む場所が少なくなり、地域によっては選択することも叶わず、経済的・身体的な理由で選べない人たちも大勢います。私自身は、どのような出産であっても、女性がその身体をかけているという点で本質的には同じだし、こうでなければ、というようなことはないと思っています。むしろ、こうでなければ、という考えが見えなくしてしまうものを警戒したいと思っています。 そうした大前提があった上で、それでもやっぱり哺乳類としてのあたりまえがあたりまえにできる身体と、それを可能にする環境が、次の世代、次の次の世代にも残されているといいと素朴に思います。しかし現実は厳しく、医療者や専門 …

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ふたつの身体が離れるとき

8月に第二子を出産しました。 6年半ぶりの出産で、すっかり赤ちゃんとの暮らし方を忘れているので、ひとつひとつ思い出しながらお世話している今日この頃です。 小学一年生と生後2か月の赤ちゃんを育てていると、子どもの成長を少し長い目で見られるからか、不思議と一人を育てていた時よりも気持ちに余裕が生まれています。 赤ちゃんの夜泣きは「こんな時期はとっても短いからしっかり味わいたい」と思うし、小学生の口ごたえには「こんな言い回しもできるようになったのか!」と感心したり。 子どもの成長は毎日の連続した変化でありながら、子どもの在り方はその時期時期で劇的に違います。 特に、0から1歳までの時期、保育園生(幼稚園生)から小学校にあがる時期、思春期は激動の時期。 例にもれず、娘も小学校に入ってからグンと変化し、すっかり「幼児」から「少女」になってしまいました。 親が踏み込めない部分が大きくなり、戸惑いながら …

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夏休みの限界

1ヶ月半の夏休みが終わろうとしていた8月31日の夜。 わたしは、育児放棄していた。 0歳と4歳を連れて外出し、デパートかどこかの遊び場で2人仲良く遊んでいたので、少しだけその場を離れた、と思ったらカフェで珈琲を飲んでいた。「はやく迎えにいかなくちゃ」という気持ちと「一人になりたい」という気持ちとの間で揺れ動きながら、どこか思考停止していた。我に返り、慌てて迎えに行ったがもう遊び場に子どもはおらず、預かり所のようなところに引き取りに行くが、詰問され引き渡してもらうことができず、泣きながら詫びていた。 夢の話だ。目覚めた時、心底ほっとしたのと同時にあまりの内容に呆然としてしまった。 何がわたしにこんな夢を見させたのだろう。思ったよりも楽しめたような気がしていたのに、意識しないようにしていただけで、心も身体も相当弱っていたのだろうか。それにしても、あの夢はない。ひどすぎる。いや、夏休みはただのき …

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寄り添うよりも

いま上の子が通う保育園では、面談の前に提出して下さいと、妊娠中や出産のこと、生活のことなどを詳細に記す書類を渡される。そこには、妊娠中、産まれた時の状況、発達の過程に加えて、テレビは見せていますか?その時間数は?なぜ見せていますか?布おむつですか?紙おむつですか?子どものことを待てていますか?子どもの話を聞いていますか?など、一見ちょっと怯んでしまうような質問群が並んでいる。 2年半前、長男入園の際にこの用紙に記入したのだけど、その時わたしは気がついてしまった。自分の回答が息苦しいのだ。 そして、はじめて考えた。早期教育に熱心になることも、自然に育てようと熱心になることも、根っこは同じではないか。目指す方向は全く異なるように見えるけれど、母である人の心の有り様はかなり近いところにあるのではないかと。 少なくとも、わたし自身をふりかえり、「こうしなければ」とか、「こうありたい」ということに縛 …

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[編集後記]信友智子さんインタビュー

第二子出産からほぼ一年が経とうという今、やっとこのインタビューを公開することができました。助産師の信友智子さんへのインタビューは、第二子出産後7ヶ月が経った頃に第一回目を行い、その後校正段階での追加のものとあわせて3回に及びました。それでも、まだまだ聞き足りない…。 今回、私自身の体験からどうしても聞いてみたかったのは、対人援助である助産を支える態度についてと、出産中の先生自身のあり方についてでした。 一つ目の問いは、妊娠中から産後までを思い返すと、最初は「支援者と支援を受ける人」であったのに、いつしか「個人と個人」という関係性もかなりの割合で含まれていった感じがあって、その変化を生んだのは、一体何だったのだろう?という疑問からでした。助産という対人援助の仕事を深めていく中で掴んでいった先生の態度として、インタビューの中で見えてきたのは、本文の中にはいれられませんでしたが「自分を開示する」 …

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[編集後記]伊藤保子さんインタビュー

私は昨年末9年間勤めた会社を退職した。 最後の5年間は子どもを育てながら時短勤務で働き、よくある話の通り、私も働き方と育て方のバランスに悩み試行錯誤していた。 いくつかの試行錯誤を繰り返す中で、会社員以外の働き方の選択肢の狭さや難しさという「働き方」の問題と、ある程度長時間労働でないと保育園に入れないという「保育」の問題に気が付き、今は「働き方」の問題にフォーカスして事業をやっている。 今回のインタビュイー伊藤保子さんとは、この「保育」の問題に関して、調べ物をする中で出会うことになった。 伊藤さんが理事を務める小規模保育協議会の勉強会で、伊藤さんと偶然お話する機会があり、感じる所があった。 その日私は勉強会に、どんなやり方があるか、どんな制度をどう使えそうか、という視点で参加していたのだが、伊藤さんはさらりと「制度にうまく載せようとするのではなく、必要だと思うものをとにかくつくる方法もある …

インタビュー

#015 伊藤保子さん

18年前、地域の専業主婦有志で横浜市瀬谷区に保育園を起こし、その後も地域のニーズに応えた様々な子育て支援事業を展開している伊藤保子さん。初めてお会いした時に聞いた「自分たちの私怨をエンジンにここまでやってきたのよ」という一見過激な発言。その言葉の奥にある想いについて伺いました。

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続お産日記

妊娠したことがわかった時に、すぐに頭に浮かんだのが「春日助産院」だった。でも、調べてみると、新しい場所に移転するために閉じられた後で、いまはもうお産を受けていないらしい。だめもとでお電話してみると「そのころにはもう移転しているでしょうから、大丈夫ですよ」とのお返事だった。そんな幸運なめぐりあわせでスタートした妊婦生活も、30歳での出産だった一人目と違って、山あり谷あり。そこは年齢がモノをいう、フィジカルな世界。長男の時は全くなかった悪阻も経験し、腰痛に貧血、逆子、その他諸々…。仕事も忙しい中での妊婦生活(産後はもっと大変だった!)は、思っていたよりきつかったけど、智子先生にハーブや鍼灸、体操など、いろんな手立てを教えてもらいながら帆走していただいたおかげでなんとか乗り切ることができた。 先生にはじめてお会いしたのは、夫と長男と3人でのカウンセリングだった。わたしと夫の家族構成、長男の出産の …

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お産日記

10月30日赤ちゃんが生まれてきてくれた。 出産前日の夜、臨月になってあまり動かなくなっていたお腹の子が特別によく動いた。いよいよという予感を抱えながら、お昼すぎから近所を2時間程散歩して、家に戻ると兆候があり、まずは腹ごしらえと台所に立つ。夫と長男、そしてその日泊まりに来る予定だった友人で写真家の酒井さんが帰宅し、皆でお鍋を囲んでから車に乗り込んだ。酒井さんとは「お産の写真、撮れるといいね」と希望的に話していたけれど、こんなにいいタイミングでその日がやってくるとは思いもよらず。幸運なことに、お産の過程を撮影してもらうことになった。 車内、陣痛は7分おき。その合間に仕事仲間に気になることを引き継いだり、お茶を飲んだり、子どもと歌ったりしていた。陣痛は、前回同様、「痛」という感じではなく、寄せては返す波の中で漂っているような感覚。いよいよお産がはじまるのだという高揚感で満たされていた。 20 …

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ペアレンティング・キャンプ報告書ができました。

昨年9月に開催した「ペアレンティング・キャンプ」の報告書ができました。 3日間の活動報告に加えて、参加者のみなさんへのアンケートも掲載しています。 こちらからダウンロードできます。 全てを伝えることはもちろんできませんが、写真と参加者のみなさんの言葉が3日間の充実をなにより物語ってくれているように思います。わたしたちにとってもはじめての挑戦となったキャンプでしたが、次につなげたい大切な経験となりました。 参加者のみなさん、深津高子さん、古賀理恵さん、ブラウンズフィールドのみなさん、ありがとうございました! (以下アンケートから抜粋) ●最近おこったことを書き出してみて、こどもはたいして悪いことしてないし、たいしたことないことでおこってた、ということに気づいた。ほんとに、自分の都合でイライラしていた。 ●ロールプレイングを取り入れた事が印象的でした。自分たちでシチュエーショ …

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幼児の生活と表現2015

東京・杉並区にある中瀬幼稚園にて、2月21,22日の2日間、一年間の記録を展示する「幼児の生活と表現展」が開催されます。 幼稚園関係者だけでなく、一般の方にも広く開かれている展示です。 子どもとは一体どんな存在かー。真摯にその問いに向き合った記録が一望できるこの機会にぜひおでかけください。 開催日時: 2015年2月21日(土)10:00-16:00 22日(日)10:00-15:00 開催場所:中瀬幼稚園(杉並区下井草4-20-3) お問い合わせ先:中瀬幼稚園(03-3395-3636)