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大事な人は増えていく

引越しまであと3日に迫った日曜日。友人宅に子どもたちを預けて、作業も追い込み。約束の時間に友人宅に迎えに行き、いよいよ別れの時間となる。「帰りたくない、まだ遊びたい」の一悶着後、やっと車に乗り込み走りだすと、後ろから水色のワンピースを着たEちゃんが「Yくーん」と言いながら、駆けてくる。Yも身を乗り出すようにして、手を振っている。二つ目の角を曲がったところでEちゃんは、走るのをやめた。バックミラーのEちゃんはどんどん小さくなっていく。三つ目の角を曲がると、姿はもう見えなくなった。 わたしは、その一部始終にぐっときてしまって、涙を拭いながら運転していると、後部座席のYが気付いて「おかあさん、泣いてるの?」と聞いてきた。「Eちゃん、Yくんの大事な友達になったんだなって思って。でも、もうなかなか会えなくなるから」と話すと、5歳は静かに言った。「だけど、また新しいところで、Eちゃんと同じくらい大事な …

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【参加者募集】ペアレンティング・キャンプ2016

9月23日〜25日、山形県鶴岡市の羽黒山キャンプ場を会場に「ペアレンティング・キャンプ2016 関わり方を見つめなおす、おとなとこどものための二泊三日」を開催します。定員10組先着順です!

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【告知】ペアレンティングキャンプ、9月に山形で開催します

  日に日に暑さを感じる日が増えてきたこの頃。 みなさんお元気でしょうか。 この季節になると、思い出されるのが一昨年の「ペアレンティング・キャンプ」のことです。 「子育ての中の具体的なやりとりを評価を挟まずに語り合い、よりよい親子の関わりを共に考える場がつくれないか」。 私たちのキャンプは、そんな思いから始まりました。 迎えた当日、千葉県いすみ市にある「慈慈の邸」で、大人たちは、虐待をしてしまった親向けに発案された行動改善プログラム「コモン・センス・ペアレンティング(CSP)」を足がかりに「今・ここ」への対症療法ではない、「子ども」という存在との向き合い方(緩め方)について語り合いました。 一方子どもも、「大人の行事のために預けられる」のではない時間になるよう、国際モンテッソーリ教師・深津高子さんに保育をお願いしました。子どもたちはブラウンズフィールドの自然の中で思い切り楽しみな …

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いきもの、愛さなければだめですか?

小学校2年生の娘の学校では、生活科の授業の一貫で、いきものを飼っています。 みんな思い思いのいきものを捕まえ、学校に持ち寄って育てています。 娘はお友達4人でテントウムシを育てていて、この週末初めてテントウムシを持ち帰ってきました。 (週末は家庭に持ち帰ってお世話をすることになっている) ところが、なんと全てのテントウムシを死なせてしまったのです。 机の上に放置されていることを、私も横目には見ていたのですが、気がついた時には全滅。 娘に聞くと、テントウムシがアブラムシを食べるという知識はあったそうなのですが、自分でアブラムシを取ってきて食べさせるということまではきちんと理解できていなかった様子。 死なせてしまった背景は理解できたとして、私がとても気になったのは娘のテントウムシへの態度です。 テントウムシがかわいそうという感覚はあまりないようで、それよりも自分の失敗によって今後起こることへの …

Special Issue

子どもにきく世界 「4歳、死を語る」

子どもにきく世界 「4歳、死を語る」 2011年12月30日(1歳0ヶ月) わたしに向かってはじめての一歩、歩いた。 2012年3月21日(1歳3ヶ月) わたしのことをはっきり「アヤ」と呼ぶようになる。 2012年7月4日(1歳7ヶ月) 絵本に描かれたタンポポの綿毛に息をふきかける。 2012年10月15日(1歳10ヶ月) 鳥を指差し、あれはなに?と聞くと、「ちゅんちゅん」と応える。  歩き始めてから言葉を話し始めるようになるまでの様子をこうして書き出して見るだけでも、子どもが日々劇的な変化を遂げていることがわかります。子どもにとって「生きる」ということは、それだけで大冒険なのでしょう。言葉で意思疎通できる3、4歳になっても、(教えなければ)まだ文字のない世界に彼らは生きています。ここがどこなのかも、いま何時なのかも、日本も宇宙もわからなくても、いまこの時を堂々と生きています。 子どもには …

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【こどものカタチ研究会】絵本をとおして みえてきた「子ども」

こどものカタチで、2008年にインタビューさせていただいた、メリーゴーランド京都店店主の鈴木潤さんのはじめての本「絵本といっしょに まっすぐまっすぐ」(アノニマ・スタジオ刊)が刊行されることになりました!これを記念して、鈴木潤さんを招いて、5月29日に福岡で研究会を開催します。 == 子どもが生まれて、これまで以上に絵本にお世話になるようになり、日々の暮らしにくっつくようにしてある、絵本という場のちからについて、子どもの発達への理解と重ねながら考えるようになりました。 子どもが求める絵本は(少なくとも乳幼児期には)成長とともにグラデーションを描くように変化していきます。その変化をおもしろいと感じている方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。「絵本を通して子どもを知る」というような体験は、母となった人の中に、人知れず大切に重ねられているのだと思います。わたしの場合も、ふたりの子どもと …

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子どもへの初期対応

熊本地震の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 福岡も随分揺れ、余震も続いておりましたが、家族全員元気です。 大好きな熊本が(被害の甚大な東区に2年ほど住んでいました)あのような事態となり、心が落ち着かないまま日々を過ごしています。 余震が続く中での避難所の暮らしは本当に大変なことだと思います。中でも、子どもたちと一緒に避難されている方々はどうされているだろうか、子どもたちの居場所はあるだろうかと、心配です。 震災後、様々な情報発信がなされている中、本当に微力ながら、子どもに関する情報を第一弾として整理しました。 震災による子どもの心の問題は、災害発生から2ヶ月の急性期、2ヶ月から1年後までの急性後期、1年以降の後期と3段階に分けられるそうです。急性期がもっとも反応が大きく現れるそうです。これから2ヶ月の対応が大事になってきます。 特に役に立ちそうだと思えた、日本子ども虐待防止 …

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【編集後記】佐山圭子さんインタビュー

医師・佐山圭子さんのインタビューが公開となりました。 私・玉木が担当するインタビューとしては、じつに3年ぶりの公開となってしまいました。しかも、インタビューを実施したのは、2014年。自らの遅筆ぶりにほとほと呆れながらも、録音記録を聞き返すと、やはり佐山さんのおはなしにはどうしてもみなさんと共有したいメッセージが詰まっていて、全方位に平謝りをしながら、今日の日を迎えました。ありがとうございます。 遅れていたら、テーマとして近しいものが含まれる信友智子さんのインタビューも公開されました。ぜひこの二つの記事を、あわせてお読みいただけたらと考えています。 今回の記事に関連して、いくつかの情報をここに掲載したいと思います。 まず、子どものからだを診るときに役立つ書籍を、佐山さんが協力医を務める「一般社団法人 知ろう小児医療守ろう子ども達の会」より、ご紹介いただきました。 ・「子育てハッピーアドバイ …

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わたしは泣かなくなった

子どもを寝かしつけて、自分もうとうとしかけていた時、家の外から男の子の泣く声が聞こえてきた。「おかあさん、ごめんなさい。おかあさん、ごめんなさい」とずっと繰り返している。咄嗟に飴をポケットにいれて、外に出た。声のする家の前に着くと、子どもは外に出されているのではなく、家の中で(多分玄関で)泣いていた。わたしは、その家の前でただうろうろして、結局何もできずに自分の家に戻った。その後、泣き声は10分ほどして止んだ。 その出来事から、忘れていた子ども時代の記憶、母に怒られて玄関やベランダの外に出されていたことを思い出した。2歳年上の兄と一緒に、出されることもあれば、一人の時もあった。何をして怒られたのか、どうやって母が許してくれたのか、どんなふうに家にいれてもらったのかは全く覚えていない。でも、怒られて、腕を強く掴まれ、放り出されるようにして玄関の外に出され、大きな音をたててドアが閉められたこと …

インタビュー

# 017 佐山圭子さん

妊娠中と出産後で、自分自身の考えがいちばん大きく変わった、いや変わらざるを得なかったのは、「医療」に対する考え方かもしれません。親として、自分だけでなく子の命を預かるという責任の重さに押しつぶされそうになったとき、「親が子の体調を診る」ということについて指針を示してくださったのが、医師・佐山圭子さんでした。
診療行為を前面にはせず、「予防的クリニック」としての立場で、生まれたあとの母親学級「ひだまりクラス」を主催する佐山さんに、この活動の背景となる思いを聞きました。

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バトンをつないで

  レストランで、1歳くらいの子どもがピョコピョコ歩き回っていて、まぁ可愛いと思って見ていたら、隣に座っていたおじさんが「うるせぇ!」「なんとかしろよ!このガキ!」と大声で怒鳴った。 ピョコピョコちゃんのお母さんは離れた席に座っていて、兄弟の世話で大変そうでとても手がまわらない様子だし、ひとまずピョコピョコちゃんを抱き上げて歌ってあげてたらピョコピョコちゃんは落ち着いた。 あまりにおじさんの暴言に頭にきたので、怒鳴らなくても解決の方法はあることと、それでもどうしても怒りがおさまらないなら正々堂々と面と向かって怒鳴ってきたらいいって伝えたら、おじさんをますます怒らせてしまった(゚o゚;; さすがに、おじさんのことは抱っこして歌うこともできないし、結局何の解決にもならず… こんな些細な出来事でさえもどうすることもできない自分の未熟さを痛感……   先日、友人がFaceboo …

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夫婦別姓訴訟と子ども

16日に合憲判断が出た夫婦別姓訴訟の最高裁判決文を読みました。合憲判断とだけ聞いた時には、かなり落胆しましたが、判決文を読むと、少し気持ちが変わってきました。15人の裁判官の中で、5人の裁判官は違憲意見を出しています。 違憲意見を出した、岡部喜代子裁判官の意見を一部抜粋して掲載します。 氏は名との複合によって個人識別の記号とされているのであるが、単 なる記号にとどまるものではない。氏は身分関係の変動によって変動することから 身分関係に内在する血縁ないし家族,民族,出身地等当該個人の背景や属性等を含 むものであり,氏を変更した一方はいわゆるアイデンティティを失ったような喪失 感を持つに至ることもあり得るといえる。そして,現実に96%を超える夫婦が夫 の氏を称する婚姻をしているところからすると,近時大きなものとなってきた上記 の個人識別機能に対する支障,自己喪失感などの負担は,ほぼ妻について生 …